「謎」といえばまさにスフィンクスさんのモチーフだが
そんなスフィンクスさんが野矢茂樹先生の『哲学の謎』を読んでみました。
私は前々から野矢茂樹先生のファンで
『哲学・航海日誌』や『語りえぬものを語る』など色々読んできたが
ここにきて、野矢先生の入門書とも言える書籍を読んでみた。
1996年刊行でもう30年も経つが
哲学の入門書としてはたいへん優れていると思った。
しかも対話篇ときたもんだから
哲学のエッセンスを感じさせてくれるようだ。
テーマは意識、記憶、時間、経験、規範、意味、行為、自由など
哲学の主要概念を一通り網羅しており、
中身もちゃんとその概念をめぐる問題を無駄なくさらっている。
一番読んでて思ったのは
まさに野矢先生があとがきで言っていることだが
執筆中、何度となく私は本気で考え込んだ。どう書くかといった著者としての悩みではない。「これ、どうなっちゃうんだ」という哲学の呻吟である。そして何回か、「あ、そうか」という気分になった。
とあるように、書いている本人ですらどこに向かっているかという気になっているだけに、
読む側でもどこへ向かわされているのかとスリルを味わうことができるということだ。
哲学というのはあらかじめ答えが与えられているわけではない。
だからこそ、ゴールなき対話に身を置く哲学の真髄を味合わせてくれた。
いわば哲学の「初心」に戻った気分にさせてくれたのである。
これでもう一度、野矢先生の他の本にあたって
野矢哲学のスリルを味わいなおしたいものである。
