山本圭『嫉妬論』を読んで

今日は山本圭先生の『嫉妬論』を読みました。

 

僕も研究者としては

同年代でいいポストに就けていたり持ち上げられたりしている

研究者を見て嫉妬を感じることが多々あります

それだけ嫉妬という感情は厄介なものです

アンガーマネージメントならぬ

エンヴィーマネージメントが必要なんじゃないかと思うくらいです

そんな嫉妬の感情について正面から考察したのがこの本です

 

嫉妬とメシウマ

アリストテレスの嫉妬論によると

自分と遠くかけ離れた上位の人には嫉妬心は起きないが

自分と近い状況にいるような人物には嫉妬が起きやすいというものだ。

私が業績や年齢が近く、就職が決まっている研究者に嫉妬しやすいのも

それで説明できよう。

 

また、シャーデンフロイデというのがあって、

嫉妬している相手が何らか失敗すると

喜びが生じる。いわゆるメシウマという状況だ。

これはネットを見てるとよく言われるやつで

確かに私は他人の不幸は蜜の味じゃないけど

人が失敗すると「ざまぁwww」って思うことがしばしばである気がする。

 

正義と平等は嫉妬の隠れ蓑

ロールズが『正義論』で「嫉妬の問題」を扱った際、

格差が大きすぎるときには嫉妬が不合理でないものとして働くということであった。

格差の平等は嫉妬心を抑える一つの手段となりうるが

しかし嫉妬心が近い者同士で起きやすい感情である以上、

平等が嫉妬心の根本的な解決にはなりづらいという問題を抱えている。

 

民主主義ー陶片追放は嫉妬の捌け口ー

プルタルコスの見立てでは、

民主主義下における陶片追放

正しくて名誉ある人物に対する嫉妬心からなされるという洞察が得られている。

キルケゴールも同様のことを言っているそうだ。

平等や水平化への原動力は

嫉妬心によるものが多いという

 

嫉妬心との付き合い方

嫉妬をすると「嫉妬をするのはやめなさい」「他人と比較するのはやめなさい」

と教条的に説教してくる人がいるがそんな簡単にできたら厄介な感情ではないだろう。

むしろ、嫉妬心と向き合うことで、あえて他人と比較しながらその他人をよく観察することで違う側面が見えてき、嫉妬心が和らぐこともあるという。

私の経験では、大学院時代から働いている間、やはり実家が太く優雅に年数をかけて研究できている大学院生がいるのを見て嫉妬することが多かったが、考えようによってはなかなか社会に出られないということもあって、私にしかできない経験があるというのもまた事実であり、大学院にいるだけではできない経験というのもあるだろう。

嫉妬心はまた競争心にも変えられる。そうやって嫉妬心を昇華する方向を選んでいけば人生の一抹の希望は見えてくるんじゃないか。