伊藤将人『移動と階級』を読んで

井戸に移動や

さて、伊藤将人氏の『移動と階級』を拝読しました。

 

「移動の自由」「移動可能性」といった観点は珍しいのでひじょうに目から鱗でした。

 

⒈ 移動と階級

まず、簡単に言うと

移動できる人、移動できない人

移動しやすい人、移動しにくい人

の2種類がいる

その違いとは概ね、経済的な問題であったり、移民やジェンダーといった要因がある。

また、別の観点としては

移動できる自由のある人、移動せざるを得ない人

という二分法もある。

後者はまさしく移民とか経済的に地方に移住しなければならない人がそうだろう。

そうしたなかで著者は移動の格差をどう埋めるかという提案を行う。

 

さて、以下は本書を読んで私の経験に即した話をしてみたいと思う。

 

⒉ 日本全国を周遊した経験ー青春18きっぷの思い出ー

実は私は大学時代、青春18きっぷを使って

電車で行ける範囲であれば日本全国周遊したことがある。

高校の頃の友人で鉄ヲタ乗り鉄)がいたから

なぜか長期休暇中にはおよそ1週間程度の青春18きっぷ旅が

恒例行事となっていたのである。

 

関西を出発点として

東北を回っていくコース、東北から北海道へ行くコース

四国や中国地方を経て九州へ行くコース、北陸を行くコース、

などなど

いろんな方法を使って日本全国を回ったものだ。

 

当時はこうして移動の自由を大学生が安くで謳歌できたものの

それは青春18きっぷに加えて、夜行列車やフェリーなどを駆使してのことだった。

今や夜行列車がどんどん廃止され、青春18きっぷで回れるコースも

徐々に減ってきたため、移動の自由は制限されてきたように思う。

寂しいことであるが、私の時代にこうした大規模移動ができたことは幸運に思うし、

人生になにかしらの影響を与えているのではないかとは思う。

 

⒊ 移動は成長につながるかーアカデミアでの話ー

アカデミアないでの話になるが

私は留学というものをしたことが一度もない。

一方で、年配研究者から若手研究者にいたるまで

せっせと留学準備し、学位取得に行ったり短期間の在外研究をしたりと

長距離移動して学問的な成長に躍起になっている。

 

私も留学というものに行ってはみたかったのだが

海外留学はやはり高い。

関連の奨学金に何度も応募してみたものの

引っかかりもせず、留学を断念してしまった。

 

実情では、やはり留学経験、在外研究経験がある人が

就職に有利だったり、海外論文に投稿しやすかったりして

出世しているイメージはある。

 

アカデミア内でもこういう格差は生じている。

 

⒋ まとめ

ドゥルーズガタリノマド的な生活を称揚したものの

現実的な問題としては一部の限られた人しか難しいというのが現状だろう。

私も留学さえすればアカデミックポストに少しは有利になっていたのではないか

もっと広いキャリア形成ができていたのではないかと後悔することは少なくない。

日本全国周遊はしたものの、旅行程度じゃ見聞は広がっても

社会経験、アカデミックな経験としては評価されない。

 

しかし、現状の置かれている環境から逃げ出す自由というものは

やはり確保しておかなければならないだろう。

そういうわけで、移動の自由がもっとすべての遍く人に

保証されるような社会づくりができてほしいなあと思いながら読んだのであった。