人文系博士課程の就職活動の想い出⑥

2020年春先

就活も悪い意味でひと段落し

世の中も自粛ムードが漂っていたため

僕も自宅に引き篭もる生活をしていた

 

もはや民間就職は諦め

転職サイトを確認することもなく

文筆活動を始めていた

あと翻訳もだ

 

もうこの辺で食っていくしかなかろうと思い

毎日毎日読書漬けの生活

この生活が性に合っているなと思えた

しかし金は無いしつらかった

給付金はもらえたが

なかなか何ヶ月も生活できるような額ではない

非常勤講師も見つからないし

紹介してくれる人もいない

 

そんな中

忘れた頃に転職サイトをのぞいたら

書類選考に通ったみたいなメールが来ていた

どうやら出版社のようだ

そういえば就活打ち止めの時に

片っ端から出した中に入ってたのかと思って

まあとりあえず見てみることにはしたが

どうやら編集職の募集

 

書籍編集者は就活初期の頃に応募してはいたが

書類で弾かれることが多く

それを大学の就職課に来ていたハローワーク職員に報告したら

そんな学部生みたいな就活の仕方はやめろと怒られたのだった

 

なのでまあダメ元で面接を受けてみることにした

学術系の出版社で

まあもはや就職しようとすら思ってなかった頃なので

せめて執筆者として顔を売って執筆の仕事でももらおうかと

過去に書いた論文の抜き刷りを鞄に潜めて向かったのだった(結局渡せなかったが)

面接は編集職の管理職クラスっぽい社員の人たちが色々聞いてきたが

ハッタリで色々答えて終わった

 

まあこれで終わりだろうと思ったが

なんと面接に通過し役員面接に呼ばれたのであった

 

とはいえ過去に役員面接で落とされた経験もあり

自信もありつつも後ろ暗さもあった

 

とりあえず行ってみる

質問はまあやる気と条件の確認みたいな感じで

終わった

 

 

 

 

返答は早かった

 

 

 

なんとここで初めて内定したのである

 

 

 

内定した時の返事の速さたるや

まあなんということ

 

早速彼女に連絡し

一緒に喜んだ

まだ給料ももらってるわけでもないのに

どこに住もうかとかそういう相談をしていた

 

 

そして会社に出すべき書類を提出し

就業開始まで待っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

その年の夏

彼女は死んだ