先日、「薄い本といえばこれでしょう」というツイートがバズりました。
薄い本が話題ですが、薄い本と言えばこれでしょう。 pic.twitter.com/hM3p4WbnBb
— 𓋴𓅱𓆑𓅱𓇌𓈖𓎡𓅱𓋴𓅱𓋴𓄿𓈖 スフィンクスさん SPHINXTHAN (@Sphinxthan) 2025年8月28日
こんなのがバズるなんてなんて平和な世の中だと思いつつも、
せっかくなので薄い本をひたすら紹介していくコーナーでも
やっていこうかなと思いました。
まずは手始めに私の専門分野である哲学から、
プラトン『ソクラテスの弁明/クリトン』を読んでみようかなと思います。
この本はかの有名なソクラテスが処刑される場面でありますが、
高校時代からもう何度読んだか覚えてないです。
でも、とにかく哲学者ソクラテスのカッコよさがここに集約されています。
弁明
まず前提として、ソクラテスの罪状は、
「青年を腐敗させる」「国家の信じる神々を信じずにダイモーンを信じる」といったことが挙げられている。
それに対する、ソクラテスの弁明は下記のようなものがあった。
例えば、俗にいうソクラテス像を象徴するような発言が下記である。
とにかく俺の方があの男よりは賢明である、なぜといえば、私達は二人とも、善についても美についても何も知っていまいと思われるが、しかし、彼は何も知らないのに、何かを知っていると信じており、これに反して私は、何も知りもしないが、知っているとも思っていないからである。されば私は、少くとも自ら知らぬことを知っているとは思っていないかぎりにおいて、あの男よりも智慧の上で少しばかり優っているらしく思われる。
これは古典的には「無知の知」と呼ばれ、また最近では「不知の自覚」とも呼ばれるように、
自分が知らないことを自覚しているということを示すであろう。
対して、知者を名乗る者は知らないことを知っているふりをするのである。
それからソクラテスのマシンガントークならぬマシンガン弁明が始まるのだが、
全部は引用できまいので、気になったところだけ引用するとこうである。
……死は一種の幸福であるという希望には有力な理由があることが分るであろう。けだし死は次の二つの中のいずれかでなければならない。すなわち死ぬとは全然たる虚無に帰することを意味し、また死者は何者についても何らの感覚をも持たないか、それとも、人の言う如く、それは一種の更生であり、この世からあの世への霊魂の移転であるか。またもしそれがすべての感覚の消失であり、夢一つさえ見ない眠りに等しいものならば、死は驚嘆すべき利得といえるであろう。というのは、思うに、もし人が夢一つさえ見ないほど熟睡した夜を選び出して、これを生涯中の他の多くの夜や日と比較して見て、そうして塾考の後、その生涯の幾日幾夜さをこの一夜よりもさらに好くさらに快く過したかを自白しなければならないとすればーー思うに、単に普通人のみならずペルシャ大王といえども、それは他の日と夜とに比べて容易に数え得るほどしかないことを発見するであろうからである。それで死がはたしてかくの如きものであるならば、私はこれを一つの利得であるといおう。
死を恐れぬ哲学者のこの態度は、ソクラテス-プラトンの対話変に貫かれていると言ってよい。そしてクリトンへと続くのである。
クリトン
クリトンは、ソクラテスが牢獄の中にいて、クリトンがソクラテスにこっそり脱走しろと言う場面にあたる。ここでソクラテスの生き様、というか死に様が見られる。
……お前が望みさえしたなら、あの裁判の途中には、まだ追放の刑を提議することも出来たし、また今お前が国家の意志に逆らってしようとしていることも、あの時ならばその同意を得て実行することが出来たのだ。しかるにあの時お前は、死ななければならぬことになってももがきはしないと高言を吐き、むしろ追放よりも死を選ぶといったのだった。ところが今はこれに反して、前言にも恥じず、われわれ国法を無視してこれを滅ぼそうとしている。自ら市民として遵守するとわれわれに誓った契約や合意に背いて逃亡しようとしているお前は、最も無恥な奴隷でもしそうな振舞いをするのだ。だから何よりもまず、この間に答えて見よ、お前は単に言葉によったのではなくて、行為によって、われわれに従って市民生活をすることに同意したものだ、とわれわれが主張するのは、はたして正当であるか、それとも正当ではないか。」
クリトンよ、僕達はこれに対して何と答えるべきだろう。僕達はこれに同意せずにいられようか。
そして、ソクラテスは徳と正義に準じて、国法に従うことを選択します。
最後に、死後の裁きについて述べます。
……子供をも、生命をも、その他のものをも、正義以上に重視するような事をするな。お前が冥府(ハデス)に着いたときに、すべてこれらの事を挙げて、そこに支配している者の前に自ら弁明することができるように。〔……〕しかるにもしお前が脱獄して、無恥千万にも、不正に不正を、禍害に禍害を報い、かくてわれわれに対するお前の合意と契約とを蹂躙して、また最も禍害を加えてはならない者ーーすなわちお前自身と友達と祖国とわれわれとーーにこれを加えるなら、その時、われわれはお前の存命中を通じてお前に怒りを抱くだろうし、またあの世ではわれわれの兄弟なる冥府の国法も、親切にお前を迎えてくれない。
本書からは読み取れないとはいえ、ソクラテスは魂の不死を説いた事で有名で、
正義を為すことで永遠に魂は清いものとなる、ということが言いたいのだと思います。
他にも牢獄の場面では、『パイドン』なんかがオススメでしょう。
最近、新訳が出るみたいですね。
薄い本と言っても侮れません。
いろいろ学ぶところはあります。
今後もスフィンクスさんは
薄い本を読んで色々学んでいこうと思います。
ではでは、また次回にご期待あれ!














